CPUは、パソコンの性能を左右する重要な部品です。そのため、パソコンを購入する際には、どのようなCPUが搭載されているかを確認することが大切です。しかし、CPUの名前や型番は似たようなものが多く、違いを見分けるのが難しいため、どれが高性能なのか判断しづらいことがあります。そこで、CPUがどのような部品で、どんな働きをしているのか、高性能なCPUの特徴は何かについて、パソコン選びの際に役立つ基本的なポイントをわかりやすく解説します。
まず、CPUとは
パソコンを選ぶとき、性能を見極める重要なポイントの1つが「CPU」です。CPUはパソコンの動作を左右する主要な部品で、高性能なCPUを搭載しているパソコンは、全体的な性能も高いと言えます。
CPUは「中央処理装置」を意味し、英語の “central processing unit” の略称です。名前の通り、CPUはパソコンの中で処理を行う中心的な役割を果たします。パソコンに与えられる命令は基本的にすべてCPUが処理を行い、その結果が実行されます。CPUの処理が速ければ速いほど、パソコンは快適に動作します。そのため、高速で命令を処理できるCPUを搭載したパソコンは、使いやすく快適に動かせる高性能なものとなります。
ただし、CPUの処理スピードをさらに速くするには技術的な制約があります。そのため、現在のCPUは「同時に複数の命令を処理する」仕組みを採用しています。処理速度が同じでも、同時にこなせる命令の数が多ければ、それだけ効率的に作業を進めることができます。つまり、CPUの性能を判断する際には「命令を処理する速さ」と「同時に処理できる命令の数」が大きなポイントになります。
主要CPUメーカーAMDとIntel
CPUを作っているメーカーはいくつかありますが、特に有名なのが「Intel」です。Intelは世界最大のシェアを持つCPUメーカーで、多くのパソコンに採用されています。それに対して、「AMD」というメーカーも最近では高性能なCPUを提供しており、シェアを徐々に伸ばしています。
ただし、IntelとAMDではCPUの名前や種類が異なるため、両社のCPUをそのまま簡単に比較することはできません。どちらのCPUが搭載されているパソコンでも、具体的なモデルや性能をしっかり調べて比較することが大切です。
CPUの種類(Intel)
IntelのCPUは大きく分けて、「Coreプロセッサー・ファミリー」と「Intelプロセッサー」の2種類があります。
Coreプロセッサー・ファミリーは、性能が高く、主にハイエンドや高性能なパソコンに使われるCPUです。
一方、Intelプロセッサーはコストパフォーマンスに優れており、手頃な価格で購入できるパソコンに搭載されています。このIntelプロセッサーは、以前から知られている「Pentium」や「Celeron」といったCPUのブランドです。
また、Intelにはサーバーなど業務用に使われるCPUもありますが、一般的なパソコンでは主にこの2つのカテゴリーのCPUが採用されています。
シリーズ | 主な用途 | 性能レベル | コア/スレッド数 | クロック速度(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
Celeron | 最低限の作業、ネット閲覧、軽いアプリケーション | ★☆ | 2コア/2スレッド | 1.8〜3.6GHz | 価格を抑えた低性能モデル。基本的な操作をするユーザー向け。 |
Pentium | 日常的な作業、軽作業 | ★★☆ | 2コア/4スレッド | 3.5〜4.0GHz | コスト重視のモデル。ブラウジングや簡単なオフィス作業に適してる。 |
Core i3 | 日常的な作業、ライトなゲーム | ★★★ | 4〜8コア/8〜12スレッド | 2.5〜4.5GHz | 軽作業やライトユーザー向けのモデル |
Core i5 | 一般的な作業、ミドルクラスのゲーム | ★★★★ | 4〜14コア/8〜20スレッド | 2.5〜5.1GHz | コストパフォーマンスが高く、多くの人に適したモデル。 |
Core i7 | 高負荷な作業、クリエイティブ作業、ゲーム | ★★★★☆ | 8〜16コア/16〜32スレッド | 2.9〜5.6GHz | 高性能で、ゲームや動画編集などに適したバランスの良いモデル。 |
Core i9 | ハイエンド作業、ゲーム、動画編集、3Dレタリング | ★★★★★ | 8〜24コア/16〜48スレッド | 3.0〜5.8GHz | 最上位モデル。マルチタスクや高負荷作業に最適。 |
CPUは下に行くほど性能が高くなり、それに伴い価格も上がります。
最上位のCore i9は、高画質の動画編集や高精細グラフィックのゲーム、3D映像の作成など、非常に高い処理能力が求められる作業向けです。ただし、これほどの性能を必要とする人は限られています。
一般的には、Core i7が高性能CPUとして多くのパソコンに搭載されており、十分な性能を発揮します。
Intelプロセッサー(PentiumやCeleron)は、Coreシリーズほどの性能はありませんが、オフィスソフトの使用やWeb閲覧など、ビジネスや学習といった日常的な用途には十分対応できます。高負荷な作業をしないのであれば、コストパフォーマンスが良く、手頃な価格で購入できるためおすすめです。
また、CPUにはデスクトップ向けとノートパソコン向けがあります。
• デスクトップ向けCPUは高い処理能力を重視しており、性能が高い分、消費電力も大きくなります。
• ノートパソコン向けCPUは、省エネルギー設計で、電力消費を抑え、長時間使用できるよう工夫されています。特に、持ち運びやバッテリー駆動を考慮する場合に適しています。
用途やライフスタイルに合わせて最適なCPUを選ぶことが重要です。
CPUの種類(AMD)
AMDのCPUには、IntelのCoreプロセッサー・ファミリーに対抗するRyzenシリーズや、手頃な価格で使えるAthlonシリーズがあります。
AMDのCPUには基本的にGPU(グラフィック処理装置)が内蔵されていません。ただし、GPUを内蔵している特別なAMDのCPUはAPU(Accelerated Processing Unit)と呼ばれています。これらを選ぶ際には、この違いを理解しておくことが大切です。
シリーズ | 主な用途 | 性能レベル | コア/スレッド数 | クロック速度(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|---|---|
Athlon | 日常作業、学習、軽いアプリケーション | ★★☆ | 2コア/4スレッド | 3.2〜3.5GHz | コスト重視のモデル。簡単な作業やネット閲覧向けで低価格帯。 |
Ryzen 3 | 日常作業、ライトなゲーム、学習用途 | ★★★ | 4コア/8スレッド | 3.5〜4.0GHz | エントリーモデルで手頃な価格で十分な性能。 |
Ryzen 5 | 一般的な作業、ミドルクラスのゲーム | ★★★★ | 6コア12スレッド | 3.0〜4.6GHz | コストパフォーマンスが高く、幅広い用途に対応可能。 |
Ryzen 7 | 動画編集、ゲーム、高性能PC用途 | ★★★★☆ | 8コア/16スレッド | 3.0〜5.4GHz | バランスの取れた性能で、クリエイターやゲーマーに人気。 |
Ryzen 9 | ハイエンド作業、高負荷ゲーム、3Dレタリング | ★★★★★ | 12〜16コア/24〜32スレッド | 3.2〜5.7GHz | 非常に高性能。複数の高負荷作業を同時にこなせるトップクラスのCPU |
AMDのCPUは、下に行くほど性能と価格が高くなります。Ryzen 9は、IntelのCore i9と同じクラスの高性能CPUで、高画質の動画編集や高精細なゲームなど、非常に負荷の高い作業に適しています。ただし、一般的にはRyzen 7が高性能CPUとして多くのパソコンに搭載されています。
また、AMDは高性能なグラフィックボードを手掛けるメーカーとしても知られており、ノートパソコン向けに高精細なゲームが快適に遊べるAPU(GPUを内蔵したCPU)も発売しています。価格はやや高めですが、仕事だけでなく、ノートパソコンでゲームも楽しみたい方にはおすすめです。
CPU選びのポイント
CPUの性能は、いくつかの要素によって決まります。同じグレードのCPUでも、発売から時間が経過しているものは、必ずしも高性能とは限りません。そこで、CPUのスペックのどこを確認すれば性能を判断できるのかを解説します。
CPUのスペックを理解することで、高価なCPUでなくても、自分の用途に十分な性能があるかどうかを見極められるようになります。適切な選択をするために、重要なポイントを押さえておきましょう。
CPUの性能と速度
CPUの性能は、命令を処理するスピードと同時に処理できる命令の数によって決まります。
• 処理スピードは「クロック数(周波数)」と呼ばれ、単位はHz(ヘルツ)です。
• クロック数が高いほど、命令を処理する速度が速くなります。
• 同時処理の能力は「コア数」で表されます。
• コアはCPU内部の処理ユニットで、それぞれが命令を処理できます。
• コアの数が多いほど、一度に処理できる命令の数が増え、全体の処理能力が向上します。
ポイント:
CPUの性能を確認するときは、クロック数とコア数の両方をチェックすることが大切です。これにより、自分の用途に合ったCPUを選べるようになります。
クロック数(周波数)
クロック数とは、CPUが1秒間にどれだけの命令を処理できるかを示す数値です。別名「周波数」とも呼ばれ、単位はHz(ヘルツ)が使われます。クロック数が高いほど多くの命令を処理できるため、CPUの処理速度が速いことを意味します。
• 2000年代以前のCPUでは、クロック数をMHz(メガヘルツ、100万単位)で表していましたが、
• 現在のCPUでは、より性能が向上し、GHz(ギガヘルツ、10億単位)が一般的になっています。
ただし、クロック数が高いだけでは高性能なCPUとは限りません。処理する命令が膨大な場合、クロック数が速くても追いつかないことがあります。そのため、CPUの性能を判断する際には、クロック数だけでなく、他の要素も考慮する必要があります。
コア数
コア数とは、CPUに内蔵されている命令を処理する「コア」の数を指します。コアが複数あることで、CPUは複数の命令を同時に処理できるようになります。そのため、コア数が多いほど処理速度が速くなり、性能が向上します。
近年のCPUは、クロック数(処理スピード)を高めるだけでなく、コアの数を増やすことで全体的な性能を向上させています。
コア数を確認すれば、そのCPUがどれだけ高性能かをある程度判断できます。
• ポイント:
• コア数が多いほど同時に処理できる命令が増えるため、性能が向上します。
• クロック数が同じ場合は、コア数が多いほうが高性能と言えます。
例えば、高性能なCPUでは10コア以上を搭載しているものもあり、大量の命令処理が求められる作業に適しています。コア数はCPUを選ぶ際の重要な指標の一つです。
スレッド
スレッドとは、CPUが同時に処理できる作業単位を指します。例えば、CPUのスペックが「4コア8スレッド」と記載されている場合、4つのコアがあり、それぞれが最大8つの命令を同時に処理できることを意味します。
通常、CPUが同時に処理できる命令の数はコア数と同じですが、負担の少ない命令の場合、コアの余力を活用してさらに多くの命令を処理することができます。これを実現する技術が「マルチスレッド(あるいはハイパースレッディング)」です。
• 比較例:
• 4コア4スレッドのCPUでは、同時に4つの命令を処理可能。
• 4コア8スレッドのCPUでは、1つのコアが複数のスレッドを利用して効率よく命令を処理するため、同時に8つの命令を処理可能。
その結果、4コア8スレッドのCPUのほうが効率が良く、命令をより速く処理できるため、全体的な性能が向上します。スレッド数は、CPUのマルチタスク処理能力を判断する重要な要素です。
キャッシュ
キャッシュとは、正式には「キャッシュメモリ」と呼ばれるもので、一時的にデータを保存するための高速メモリの一種です。通常のパソコンのメモリ(RAM)とは異なり、非常に高速にデータへアクセスできるため、キャッシュの容量が多いほど処理速度が向上します。
キャッシュは階層化されており、高速にアクセスできる順に以下のように分類されています。
• L1キャッシュ(最速だが容量は小さい)
• L2キャッシュ(やや遅いが容量が多い)
• L3キャッシュ(さらに遅いが、容量がさらに多い場合がある)
ポイント:
• キャッシュ容量が多いCPUほど、高性能であることが一般的です。
• 性能の高いCPUには大きなキャッシュが搭載されているため、キャッシュ容量を確認することでCPUの性能をある程度判断できます。
つまり、「キャッシュが多いCPU=処理が速いCPU」と覚えておけば、基本的には問題ありません。
GPU
GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)は、映像処理を専門に行うプロセッサーで、通常は「グラフィックボード」と呼ばれるパーツに搭載されています。映像の処理は非常に負荷がかかるため、CPUとは別にGPUが必要になることが多いのです。
しかし、GPUを内蔵しているCPUであれば、専用のグラフィックボードがなくても、映像処理をCPUが行うため、ディスプレイに映像を表示することが可能です。
• 内蔵GPUの特徴:
• CPUに内蔵されているGPUは、専用のグラフィックボードに比べると性能は劣ります。
• 高精細グラフィックのゲームや動画編集など、高負荷な映像処理には不向きです。
• グラフィックボードの利点:
• 負荷の高い映像処理には、専用の高性能グラフィックボードがあったほうが快適に作業できます。
• 一般用途の場合:
• ビジネス用途やWeb閲覧、簡単な作業などでは、内蔵GPUでも十分な性能を発揮します。
結論:
高負荷の映像処理が必要な場合は、専用のグラフィックボードを検討し、一般的な用途であれば内蔵GPUで問題ありません。用途に応じて選ぶことがポイントです。
CPUの世代
CPUには「Core i3」や「Ryzen 5」といった名前が付けられており、これによって性能のランクを区別できます。ただし、それだけでなく「世代」でも性能を見分けることが可能です。一般的に、新しい世代のCPUほど新しい技術が使われており、性能が向上しています。
しかし、同じ名前でも世代が異なる場合があるため、型番を確認して調べることが重要です。たとえば、「Core i3」という名前が付いていても、世代によって性能が異なることがあります。
• 世代による影響:
• 1~2世代程度の違いなら性能差はあまり大きくありません。
• 古い世代のCPUは価格が下がっているため、コストパフォーマンスが良い場合もあります。
• 具体例:
• 第10世代のCore i3 10100(3.6GHz、4コア8スレッド)と、
• 第7世代のCore i7 7700(3.6GHz、4コア8スレッド)は、世代や名前が違いますが、性能はほぼ同じです。
ポイント:
「Core i7」だから性能が必ず上とは限らないため、名前だけでなく世代や型番をよく確認することが、正確に性能を判断するコツです。
最新世代のCPU
最新技術を取り入れた最新世代のCPUが次々と登場しています。登場直後は、これらのCPUを搭載したパソコンはまだ市場に出回っていませんが、徐々に新世代CPUへと切り替わっていくでしょう。ここでは、これから最新のパソコンに搭載される、登場したばかりの最新世代のCPUについて紹介します。
最新のAMD CPU
AMDは最新CPUとしてRyzen 7000シリーズを発表しました。このシリーズでは、デスクトップ向けとノートパソコン向けで特徴が異なります。
デスクトップ向けRyzen 7000シリーズの特徴
• 新設計「Zen4」を採用しており、高い性能を発揮します。
• DDR5メモリやPCI Express 5.0といった最新技術に対応。
• GPU内蔵が標準装備となり、グラフィック機能を備えているのが特徴です。
• 高温になりやすいとされていますが、高温状態でも安定して動作できる設計が施されています。
ノートパソコン向けRyzen 7000シリーズの特徴
• デスクトップ向けとは異なり、複数の設計(アーキテクチャ)が採用されています。
• 7045/7040モデルは「Zen4」設計。
• 7035モデルは「Zen3+」設計。
• 注意点:
• Zen4を採用しているモデル以外(例: 7035)では、DDR5メモリが使用できません。
• 型番を確認することで、採用している設計の違いを把握できます。
ポイント:
Ryzen 7000シリーズは、用途やモデルに応じた設計がされているため、選ぶ際には型番や対応技術(DDR5メモリなど)をよく確認することが重要です。
最新のIntel CPU
Intelは最新のデスクトップ向けCPUとして、第14世代のCoreプロセッサーを発売しました。このシリーズでは、Core i9、Core i7、Core i5がラインナップされ、それぞれにGPU内蔵モデルと非内蔵モデルがあり、合計6つのモデルが登場しています。
デスクトップ向け第14世代Coreプロセッサーの特徴
• 設計は第13世代をベースにしていますが、以下の点で性能が向上しています:
• クロック数の向上により処理速度がアップ。
• コア数の増加でマルチタスク性能が強化。
• 第13世代の改良版ともいえる、高性能なCPUです。
ノートパソコン向けの最新CPU
• ノート向けでは、第13世代のCPUが最新モデルとなります。
• 高性能なPコア(パフォーマンスコア)と高効率なEコア(効率コア)を組み合わせた構成で、プログラムの処理速度が向上しています。
• 最新技術としてDDR5メモリにも対応。
• エントリーモデルとして、Pコアを持たないCore i3 Nシリーズも展開されています。
ポイント:
デスクトップでは第14世代、ノートパソコンでは第13世代が最新で、それぞれ性能や機能が異なります。用途や必要な性能に応じて、モデルを選ぶのが重要です。
CPUは最新世代ではなくても良い
最新世代のCPUは高性能ですが、1世代前のCPUと比べて性能差は数10%程度にとどまることが多く、大幅な性能向上があるとは限りません。そのため、用途によっては最新世代のCPUでなくても、十分に快適に使える場合があります。
むしろ、少し世代が古いCPUを搭載したパソコンは価格が下がっていることが多く、コストパフォーマンスが良い選択肢になることもあります。CPUを選ぶ際には、クロック数やコア数、スレッド数を確認することで、そのCPUがおおよそどれくらいの性能を持っているかを判断できます
ポイント:
最新世代を追い求めるだけでなく、自分の用途に合った性能と価格のバランスを考えて選ぶことが大切です。
パソコンのCPU選びで重要なポイント
ここまでの説明で、CPUがどのようなパーツかを理解していただけたと思います。次に、どのようなCPUを搭載したパソコンを選べばよいかを解説します。
高性能なCPUを搭載したパソコンを選べば、あらゆる作業に対応できるという利点があります。しかし、こうしたパソコンは価格が非常に高いため、必要以上に高性能なCPUを選んでしまうと、ほかのパーツに割ける予算が減ってしまう可能性があります。
そのため、パソコンのCPUを選ぶ際には、自分の用途に合った性能を見極めることが重要です。適切な選択をすることで、予算を有効に活用し、最適なパソコンを購入することができます。
パソコンの用途を決める
まずは、パソコンをどのような目的で使うのかを明確にしましょう。CPUの性能が高いことに越したことはありませんが、性能を活かせない用途であれば、無駄に価格が高くなり、予算を無駄にしてしまう可能性があります。
もし購入予算に余裕がある場合でも、用途によってはCPUよりもメモリやストレージといった他のパーツに予算を割いたほうが、より快適に使える場合があります。
例えば、パソコンの用途は以下のようにさまざまです:
• ビジネスや学習用(オフィスソフト、メール、Web閲覧)
• 動画編集(高性能な処理が必要)
• イラストやマンガ制作(グラフィック性能が重要)
• Webサイトの閲覧や簡単な作業(軽い処理で十分)
まず、自分がパソコンを使う目的や必要な性能を整理しておくことが、最適な選択をするための第一歩です。
オフィスソフトを中心に使うなら高性能は不要
ビジネス用途で主にオフィスソフトを使う場合、高性能なCPUは必ずしも必要ありません。例えば、Microsoft Office(WordやExcel)は、CeleronやPentium、Core i3といった価格の手頃なCPUでも快適に動作します。同様に、Webサイトの閲覧やインターネット中心の用途でも、これらのCPUで十分な性能を発揮します。
これらのCPUはコストパフォーマンスが高く、比較的安価なパソコンでも快適に使用できるのが特徴です。
さらに、ビジネス専用のパソコンを選ぶ際は、メモリの容量を増やす、またはストレージをHDDではなくSSDにするなど、CPU以外のパーツに予算を充てることで、より快適にパソコンを使えるようになります。用途に応じたバランスの良い選択が大切です。
はっきり用途が決まってない時はミドルグレードがおすすめ
Core i5のようなミドルグレードのCPUは、ビジネスや学習用途だけでなく、将来的にイラスト制作や動画編集などの作業をしたいと考えている方におすすめです。
ミドルグレードのCPUは、ビジネスや学習で必要な性能を十分に発揮するだけでなく、画像編集や映像処理といった負荷の高い作業にも対応できる性能を備えています。それでいて、高性能なCPU(例: Core i7やCore i9)を搭載したパソコンよりも価格を抑えられる点が魅力です。
さらに、性能が高いため寿命が長く、買い替えまでの期間が延びるというメリットもあります。長く使えるパソコンを探している方や、用途を限定したくない方にとって、Core i5搭載のパソコンは非常にバランスの良い選択肢です。
ゲーム、動画編集には高性能CPUがおすすめ
高性能CPUを搭載したパソコンは、高画質の動画編集や高精細なゲームといった負荷の高い作業を快適に行いたい方におすすめです。価格は高くなりますが、これらの用途ではCore i7以上の高性能CPUを選ぶことで、スムーズな操作が可能になります。CPUの性能が高いほど、パソコン全体の動作が快適になるため、ストレスなく作業を進められます。
また、ビジネス用途でも、例えばプレゼン資料を作成する際に動画編集と画像加工を同時に行うといったように、複数の処理を並行して行う機会が多い場合は、高性能なCPUを選ぶことで効率が上がります。高性能CPUは複数の処理をスムーズにこなす能力があり、動作が遅くなったり処理待ち時間が発生したりすることを大幅に減らせます。
ポイント:
高負荷な用途や複数の作業を快適にこなしたい場合には、高性能なCPUのパソコンを選ぶのが賢明です。
高性能CPUの注意点
高性能CPUを搭載したパソコンを購入する際には、ファンの騒音に注意が必要です。特にデスクトップパソコンに搭載される高性能CPUは、負荷の高い処理を行うと消費電力が多くなり、熱を発します。この高温状態が続くとCPUが故障する可能性があるため、熱を逃がすためにヒートシンクやCPUファン(CPUクーラー)が必要になります。
しかし、負荷が高い作業を行う際には、CPUファンがフル稼働し、大きな音が出ることがあります。このため、静かな環境でパソコンを使用したい方には、騒音が気になる場合があるので注意してください。
ポイント:
• 高性能CPUは高温になりやすいので冷却が必須。
• 冷却時のファンの音が気になる場合がある。
• 静音性を重視する場合は、冷却性能の高い静音ファンや水冷システムを検討すると良いでしょう。
静かな環境で作業したい場合は、こうした点を考慮して選ぶことが大切です。
ノートパソコン用CPUの違い
ノートパソコン向けのCPUとデスクトップパソコン向けのCPUでは、同じ名前でも性能が異なることがあります。ノートパソコンでは、消費電力や発熱を抑える必要があるため、専用に設計されたCPUが使われています。そのため、同じ名前のCPUでも、ノートパソコンがデスクトップと同じ性能を発揮できるとは限りません。
例えば、同じ第10世代でも:
• デスクトップ向けCore i5 10400は、2.9GHz、6コア12スレッド
• ノート向けCore i5 10400Hは、2.6GHz、4コア8スレッド
このように、ノートパソコン向けのCPUは省エネルギーや熱管理を優先して設計されているため、性能が抑えられていることがあります。ただし、決して性能が低いわけではなく、多くの用途には十分対応可能です。
ポイント:
• ノートとデスクトップでは、同じ名前でも設計が異なることに注意。
• ノートパソコン向けCPUは、デスクトップ向けほどの性能を求める用途には不向きな場合があります。
購入時には、使用目的に合わせてCPUの仕様を確認することが大切です。
CPUだけではパソコンの性能は決まらない
CPUはパソコンの性能を大きく左右する重要な部品ですが、CPUだけでパソコン全体の性能が決まるわけではありません。メモリやストレージなど、他の要素もパソコンの快適さに大きく影響します。
そのため、パソコンを購入する際は、CPU以外の構成要素にも注目してください。全体のバランスを考えた選び方をすることで、より快適に使えるパソコンを手に入れることができます。
メモリが多い方が快適
パソコンで「メモリ」と言う場合、通常はメインメモリ(RAM)のことを指します。メインメモリは、データを一時的に保存するためのスペースで、非常に高速にデータにアクセスできるのが特徴です。ストレージ(HDDやSSD)からデータを読み込むよりも圧倒的に速いため、メモリ容量が多いほどパソコンの動作が快適になります。
どんなに高性能なCPUを搭載していても、メモリ容量が不足していると、ストレージに頻繁にアクセスする必要が生じます。これにより、命令の処理以外の部分で時間がかかってしまい、パソコンの動作が遅く感じることがあります。
ポイント:
• メモリ容量が多いほど、データの処理速度が向上し、快適に作業できます。
• 高性能なCPUを選んでも、メモリが少ないとその性能を十分に発揮できなくなる可能性があります。
パソコンを選ぶ際は、CPUだけでなく十分なメモリ容量も確保することが重要です。
映像処理にはグラフィックボードが必要
4K動画の編集や高精細なゲームを快適に操作するには、高性能なCPUだけでは十分ではありません。映像処理は非常に負荷が高く、CPUに内蔵されたGPUでは性能が足りないことが多いため、グラフィックボード(GPU)という専用パーツが必要になります。グラフィックボードは高価ですが、なめらかで高精細な映像を表示することが可能です。
ただし、近年のCPU内蔵GPUも性能が向上しているため、高度な映像処理を必要としない場合や設定を調整する場合には、グラフィックボードがなくても対応できることがあります。例えば、ゲームのグラフィック設定を下げることで、CPU内蔵GPUでも快適に楽しめるタイトルもあります。
ポイント:
• 高度な映像処理が必要なら、グラフィックボードを搭載したパソコンを選ぶべき。
• 一般的な用途や軽いゲームなら、CPU内蔵GPUでも十分対応可能な場合がある。
用途に応じて、グラフィックボードが必要かどうかを判断しましょう。
ストレージはSSDがおすすめ
どれだけ高性能なCPUを搭載していても、ストレージがHDDだとデータの読み書きに時間がかかり、CPUの性能を十分に活かせません。そのため、Windowsを起動するメインストレージには、高速なSSDを選ぶことが重要です。SSDはHDDよりもアクセス速度が何倍も速いため、パソコン全体の動作が快適になります。
もし大容量のデータを保存する必要がある場合は、データ保存用のストレージとしてHDDを使う方法があります。この場合、データの読み書き速度は遅くなりますが、HDDだけのパソコンに比べて、パソコン全体の動作が快適になります。
ポイント:
• SSDをメインストレージにすることで、起動や操作がスムーズに。
• 大容量データが必要なら、SSD+HDDの組み合わせがコストパフォーマンスに優れた選択肢。
ストレージの種類と使い方を工夫することで、パソコンをより快適に利用できます。
用途や目的ににあったパソコン選びを!
家電量販店やパソコンショップでは、あらかじめCPUやメモリ、ストレージなどの仕様が決まったパソコンを購入するのが一般的です。しかし、BTOパソコンでは、これらのスペックを自分で選んでカスタマイズすることができます。
例えば、予算に合わせてCPUを選んだり、快適に操作できるよう大容量メモリを搭載したりと、用途にぴったり合ったパソコンを手に入れることが可能です。